メトホルミンがある種の乳がんリスクを低下 ホルモン受容体の状態によって異なる結果に

メトホルミンがリスクを下げる乳がん、上げる乳がん
 メトホルミンが、ある種の乳がんリスクを低下させる一方、別のタイプの乳がんリスクは上昇させる可能性を示唆するデータが報告された。米国立環境健康科学研究所(NIEHS)のYong-Moon Mark Park氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Oncology」に1月28日掲載された。

 2型糖尿病患者は、乳がんリスクが20%高いというメタ解析の報告が見られる。それに対してメトホルミンは、mTORシグナルの阻害などを介して乳がんリスクを低下させる可能性のあることが指摘されている。ただし、疫学的エビデンスは十分でない。

 Park氏らは、NIEHSなどが主導している「Sister Study」のデータを利用。2003~2009年に登録された4万4,541人(登録時年齢35~74歳)を、2017年9月15日まで追跡。2型糖尿病の有無、血糖降下薬の使用状況別に、乳がん罹患リスクを比較検討した。

 中央値8.6年の追跡期間中に、2,678件の乳がんが診断されていた。2型糖尿病と乳がんリスクの間に有意な関連は認められなかった〔ハザード比(HR)0.99、95%信頼区間0.87~1.13〕。ただし、トリプルネガティブ乳がんに関しては、2型糖尿病患者でリスクが高い傾向にあった(HR1.40、同0.90~2.16)。

 メトホルミン処方の有無別に検討すると、同薬を処方されていた2型糖尿病患者の乳がんリスクは、非糖尿病者と同等だった(HR0.98、同0.83~1.15)。ただし、エストロゲン受容体(ER)陽性乳がんに関しては、同薬が処方されていた2型糖尿病患者で、リスクが低下する傾向にあった(HR0.86、同0.70~1.05)。この関連はメトホルミン処方期間が長い場合に、強化される傾向が観察された(処方期間10年以上でHR0.62、同0.38~1.01。傾向性P=0.09)。

 一方、ER陰性乳がんは、メトホルミン処方によってリスクが増加する傾向があった(HR1.25、同0.84~1.88)。さらに、トリプルネガティブ乳がんに関しては、メトホルミン処方による統計的に有意なリスク上昇が認められた(HR1.74、同1.06~2.83)。これらの関連は感度分析によって裏付けられた。

 著者らは、「2型糖尿病と乳がんの関連はホルモン受容体の状態によって異なる可能性があり、ER陽性乳がんに対しては、メトホルミンの長期使用がリスクを低下させる可能性がある」と結論付けている。

[HealthDay News 2021年2月10日]

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[Terahata]
編集部注:
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