インフルエンザワクチンが糖尿病患者の全死亡や心血管死を抑制する可能性

 インフルエンザのワクチンを接種した糖尿病患者は、全死亡や心血管死などのリスクが有意に低いとする、コペンハーゲン大学(デンマーク)のDaniel Modin氏らの研究結果が「Diabetes Care」7月9日オンライン版に掲載された。糖尿病関連の急性合併症による入院のリスクも、有意な低下が認められたという。

 インフルエンザの罹患が、アテローム性動脈硬化症による急性心筋梗塞や脳卒中などの血栓性イベントのリスク増大と関連することが、近年報告されている。一方でインフルエンザワクチンの接種はインフルエンザ罹患リスクを低下させるが、糖尿病患者のワクチン接種と心血管アウトカムとの関連については、これまで明らかになっていなかった。

 Modin氏らは、デンマークの全国規模の医療レジストリデータを解析。2007~2016年にわたる連続9回のインフルエンザシーズン中の糖尿病患者の転帰を、ワクチン接種の有無で比較した。18歳未満または100歳以上の患者、および虚血性心疾患や心不全、慢性閉塞性肺疾患、がん、脳血管疾患の既往者は対象から除外した。

 糖尿病の有無は、血糖降下薬の処方で定義した。ワクチン接種の有無を各シーズンに入る前の医療記録から判定し、その後12月1日から翌年の4月1日まで追跡して、全死亡、心血管死、急性心筋梗塞または脳卒中による死亡をシーズンごとに検討した。なお、ワクチンの接種率は、シーズンにより24~36%の範囲で変動していた。

 中央値4シーズン(四分位範囲は2~8シーズン)、24万1,551人、計42万5,318人年の追跡により、8,207人(3.4%)の死亡が確認された。そのうち4,127人(1.7%)が心血管死であり、1,439人(0.6%)は急性心筋梗塞または脳卒中での死亡だった。

 交絡因子の調整後、ワクチン接種は、全死亡〔ハザード比(HR)0.83、P<0.001〕、心血管死(HR0.84、P<0.001)、急性心筋梗塞または脳卒中による死亡(HR 0.85、P=0.028)のいずれについても、有意なリスク低下と関連していた。また、糖尿病関連急性合併症(糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖、昏睡)による入院リスクの有意な低下も認められた(HR0.89、P=0.006)。

 以上の結果から著者らは、「糖尿病患者のインフルエンザワクチン接種は、全死亡、心血管死、急性心筋梗塞または脳卒中による死亡のリスク低下と関連している」と結論づけ、「この知見は、糖尿病患者がインフルエンザワクチン接種を受けるメリットに関するエビデンスを、大幅に強化するものだ」と述べている。

 なお、数名の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2020年7月17日]

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[Terahata]
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