インスリン使用がCOVID-19患者の予後不良に関連か

 血糖管理にインスリンを必要とする糖尿病患者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した場合、予後不良となるリスクが高い可能性が報告された。中国の武漢にある華中科技大学のYuchen Chen氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」5月14日オンライン版に掲載された。

 Chen氏らの研究は、COVID-19患者を糖尿病のある群とない群に分け、臨床検査データおよび転帰を後ろ向きに検討したもの。検討対象となったCOVID-19患者は904人で、136人の糖尿病患者(主に2型糖尿病)が含まれていた。糖尿病患者の割合は、一般的な糖尿病有病率と同等だった。

 ロジスティック回帰分析の結果、糖尿病を有するCOVID-19患者において、高齢〔年齢が1歳上昇するごとの調整オッズ比(aOR)1.09(95%信頼区間1.04~1.15)、P=0.001〕、および、CRP高値〔aOR1.12(同1.00~1.24)、P=0.043〕が、死亡率が高いことの有意なリスク因子だった。また、インスリンの使用と予後不良との間に有意な関連が認められた〔aOR3.58(同1.37~9.35)、P=0.009〕。

 なお、COVID-19は、細胞表面のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を介して感染すると考えられている。動物実験からは、レニン-アンジオテンシン系降圧薬〔RAS系降圧薬。ACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)〕によってACE2の発現が増加することが示されているため、RAS系降圧薬の使用によりCOVID-19感染リスクが上昇するのではないかとの懸念がある。

 そこで本研究では、RAS系降圧薬を用いている患者の臨床転帰も検討された。その結果、RAS系降圧薬による治療を受けている糖尿病または高血圧を有するCOVID-19患者の臨床転帰は、それらの薬剤が使用されていない糖尿病や高血圧を有するCOVID-19患者と同等であった。

 以上より著者らは、「インスリンの使用はCOVID-19患者の予後不良と関連している。糖尿病がありインスリンを使用しているCOVID-19患者には、より多くの注意が必要であることが示唆される」とし、またRAS系降圧薬について、「ACE阻害薬およびARBの使用は、糖尿病や高血圧のあるCOVID-19患者の臨床転帰に有意な影響を与えなかった」と結論をまとめている。

[HealthDay News 2020年5月20日]

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[Terahata]
編集部注:
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