リアルタイムCGM「メドトロニック ガーディアン コネクト」が2型糖尿病患者にも使用拡大 2020年診療報酬改定で保険適用

2020.04.30
 日本メドトロニックは、2020年4月の診療報酬改定により、同社のリアルタイムCGM「メドトロニック ガーディアン コネクト」について、低血糖発作を繰り返すなど重篤な有害事象が起きている一部の2型糖尿病患者に保険適用が拡大したことを公表した。

低血糖発作を繰り返すなど血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者にも適用拡大

メドトロニック ガーディアン コネクト

医療機器承認番号:22900BZX00321000

 「メドトロニック ガーディアン コネクト」は、スマートフォンなどモバイル機器にデータを送ることにより、インスリン治療中の糖尿病患者が行う血糖コントロールをサポートする医療機器で、2018年より1型糖尿病患者を中心に用いられている。

 今回の適用拡大により、膵全摘後の患者や、低血糖発作を繰り返すなどの重篤な有害事象が起きている、血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者も保険適用のもと使用可能となった。

 CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続グルコースモニタ)は、専用のセンサを装着し、皮下間質液中のグルコース値を連続的に記録してその変動を見ることのできる機器。その測定値はモバイル機器などへ5分ごとに送信される。CGMは定期的な血糖自己測定では見逃される恐れのある高血糖と低血糖の検出を補助し、血糖の状況をより全体的に把握できるようになる。

低血糖や高血糖をスマートフォンなどで患者にアラート通知 家族や医療従事者にも知らせる

 「メドトロニック ガーディアン コネクト」は、スマートフォンなどのモバイル機器を利用した皮下間質液中グルコース値の変動確認に加え、予測アラートなどの通知機能により、低血糖や高血糖にいたる可能性がある場合に、患者に音やバイブレーションで知らせる。これにより、いち早くこれらの事象に患者自身が対応できることが期待される。

 また、CGMとして日本で初めて、SMSテキストメッセージによるアラート通知が可能で、患者本人だけでなく家族や医療従事者も、携帯電話を通じて、予測アラート通知を受け取ることができる。

 「メドトロニック ガーディアン コネクト」は、2018年12月の発売開始より、血糖管理を改善したい成人の1型糖尿病患者や、通学する小児の1型糖尿病患者などに使用されている。

 今回の改定により、低血糖発作を繰り返すなど重篤な有害事象が起きている、血糖コントロールが不安定な2型糖尿病患者にも保険適用された。

 また今回の改定で、これまで毎月通院が必要とされていたところ2ヵ月に1度の通院でも保険適用が認められることになった。これにより、就学・就労している患者に利便性の高い環境も整ってきた。

令和2年度診療報酬改定による「メドトロニック ガーディアン コネクト」への影響
C152-2(持続血糖測定器加算)の算定に関する変更点
(1)2月に2回に限り算定が可能と追加された。
(2)間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器と、間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器について個別に表現され、以下の適用が追加された。

間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器を用いる場合◼ 膵全摘後の患者さんが追加
間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器を用いる場合◼ 膵全摘後の患者さんが追加
◼ 内因性インスリン分泌の欠乏(空腹時血清Cペプチドが0.5ng/mL未満を示すものに限る)を認め、低血糖発作を繰り返す等重篤な有害事象がおきている血糖コントロールが不安定な2型糖尿病であって、医師の指示に従い血糖コントロールを行う意志のある患者さんが追加

* 「間歇注入シリンジポンプと連動する持続血糖測定器」は同社ミニメド640Gシステムならびにミニメド620Gシステムと連動するトランスミッタ、「間歇注入シリンジポンプと連動しない持続血糖測定器」はガーディアン コネクトが対象となる。

令和2年度診療報酬改定について(厚生労働省)
  第2部 在宅医療 - C152-2(持続血糖測定器加算)

低血糖の啓発と治療の適正化による重症低血糖への予防対策が急務

 日本糖尿病学会の「糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査委員会報告」によると、定期受診中の糖尿病患者のうち、インスリン治療下の2型患者数は1型患者数の約4倍に上る。また、2型糖尿病において、患者自身で対処できない重症低血糖による年間受診数の約7割が60歳以上で、その過半数が75歳以上の高齢者だ。中には、重症低血糖に対する前駆症状がなく救急搬送される患者もおり、低血糖の啓発と治療の適正化による重症低血糖予防対策が急務とされている。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院 糖尿病・内分泌内科教授の綿田裕孝先生は、「インスリン治療においては、医師によって指導された通りに注射していた場合でも、様々な要因によって、予期せぬ低血糖が起こり得るものです。低血糖の予兆を早期に知る手段を得ることと、正しい知識に基づいた対応策を取ることによって、糖尿病患者自身が低血糖から身を守ることが可能となります。血糖コントロールが困難な一部の2型糖尿病患者にもリアルタイムCGMの使用が広がることで、重症低血糖への不安が減少し、より良い血糖コントロールにつながることを期待します」と述べている。

 「血糖自己測定だけでは低血糖と高血糖の78%について見逃しの恐れがあるといわれています。血糖コントロールに不安を抱える一部の2型糖尿病患者にもメドトロニック ガーディアン コネクトに関し保険適用が認められたことで、血糖変動の傾向をより早期に、かつ容易に把握できる、治療選択の一助となれば嬉しく思います」と、同社では述べている。

日本メドトロニック

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