高齢糖尿病患者の多くが他疾患で入院中に血糖管理が強化される

 糖尿病以外の疾患治療目的で入院した高齢糖尿病患者の約1割は、入院中に血糖管理が強化されて退院するが、その半数は管理強化の恩恵を受ける可能性が低いとする報告が「JAMA Network Open」3月24日オンライン版に掲載された。

 米ベス・イスラエル・ディコネス・メディカルセンターのTimothy S. Anderson氏らは、2011~2013年の退役軍人病院入院患者のうち、入院以前に糖尿病と診断されていてインスリン療法を行っていない65歳以上の高齢患者を対象として、入院中に血糖管理が強化されていた患者の割合を後方視的に検討した。

 解析対象者数は1万6,178人で、平均年齢は73±8歳、男性が98%。退院時診断名は、うっ血性心不全16%、肺炎12%、冠動脈疾患11%、不整脈10%、COPD10%など。入院前のHbA1cは、7.0%未満が53%、7.0~8.9%が38%、9.0%以上が6%だった。

 このような患者群の10%にあたる1,626人が、入院中にインスリンやSU薬が追加されて退院していた。血糖管理の強化手段として最も多いのはインスリン療法の開始であり781人(5%)に対し行われ、次にSU薬の追加や増量が557人(3%)に対して行われていた。またメトホルミンによる強化も382人(2%)に行われていた。

 入院前の糖尿病管理状態と平均余命に基づく推計により、血糖管理強化の恩恵を受ける可能性が高いのは、入院患者全体の6%に当たる1,044人と考えられ、77%に当たる1万2,441人は恩恵を受ける可能性が低いと考えられた。また他の17%は結果が不確実と判定された。

 ところが実際に血糖管理が強化された患者1,626人のうち、49%に当たる791人は、余命が限られているか入院時点のHbA1cが7.5%未満であり、管理強化のメリットは少ないと考えられる患者だった。一方、血糖管理強化のメリットを受けたと考えられる患者は329人(20%)にとどまった。

 これらのデータを基に、糖尿病患者が他疾患治療目的での入院中に血糖管理が強化される確率を予測したところ、入院前のHbA1cが7%未満であり、かつ入院中に血糖上昇が見られない患者に対しても、4%の頻度で血糖管理強化が行われると考えられた。

 著者らは、「高齢者の自宅退院に際して有益とは言えない薬剤の追加を抑制するため、より長期的な視点から糖尿病管理を考える必要がある」と述べている。

[HealthDay News 2020年3月25日]

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[Terahata]
編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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