成人1型糖尿病患者の血糖管理は考えられているほど良くない?

 1型糖尿病患者の急性・慢性合併症の発生率を、HbA1c・年齢層別に解析した結果が報告された。HbA1cが高いほど重症低血糖を含む急性合併症や慢性合併症の頻度が上昇することが明らかになり、また成人患者の血糖コントロールは従来から考えられているよりも悪い可能性が示された。米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のJeremy H. Pettus氏らによるこの論文は、「Diabetes Care」9月23日オンライン版に掲載された。

 Pettus氏らは、米国の電子健康記録(electronic health record;EHR)のデータベースを利用した後ろ向き観察研究により、成人1型糖尿病患者の疾病負担を調査した。EHRに基づく検討であることから、本研究の結果はリアルワールドにおける1型糖尿病患者の治療実態を反映したものと言える。

 研究の対象者は、2014年7月1日~2016年6月30日に記録のあった成人1型糖尿病患者3万1,430人。全体を、年齢(18~25歳、26~49歳、50~64歳、65歳以上)とHbA1c(7%未満、7~9%未満、9%以上)とで層別化し、合併症の頻度を比較。合併症は、急性合併症として重症低血糖と糖尿病性ケトアシドーシスの年間発生率を、慢性合併症として神経障害、腎障害、網膜症の有病率を評価した。

 検討の結果、HbA1c7%未満に管理されていたのは全体の約20%にとどまっていた。年齢層別に見ると、高齢者は若年者に比べて有意にHbA1cが低かった。

 急性合併症の年間発生率を見ると、重症低血糖はHbA1c7%未満の群で4.2%、7~9%未満の群で4.0%、9%以上の群で8.3%だった。糖尿病性ケトアシドーシスは同順に、1.3%、2.8%、15.8%だった。いずれもHbA1c9%以上の群は有意にリスクが高かった。年齢層別に解析すると、若年者は高齢者より血糖コントロール不良に関連する急性合併症のリスク上昇が顕著だった。慢性合併症については神経障害と腎障害の有病率がHbA1c9%以上の群で有意に高かった。

 著者らは本研究の結論を、「成人1型糖尿病患者の血糖コントロールは従来考えられていたよりも悪いようだ。合併症の頻度はHbA1cの上昇に伴い増加し、HbA1c9%以上では7%未満に比べて重症低血糖が2倍、糖尿病性ケトアシドーシスが12倍多く見られた」とまとめている。

 なお、数名の著者が研究資金を提供したサノフィを含む製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2019年10月1日]

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[Terahata]

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  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
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