DPP-4阻害薬による炎症性腸疾患の増加は確認されず

 DPP-4阻害薬に関して最近、炎症性腸疾患(IBD)のリスクを上昇させる可能性が報告され懸念が生じているが、同薬を用いても短期的にはIBDリスクは上昇しないとする新たな研究報告が「Diabetes Care」8月30日オンライン版に掲載された。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のTiansheng Wang氏らが、医療保険データベースを解析した結果、明らかになった。

 Wang氏らは、民間医療保険(MarketScan)、および高齢者医療保険(メディケアからのランダムサンプル)の請求データベースを利用。2007年1月から2016年12月までの記録から、IBDの診断・治療がなされておらず、DPP-4阻害薬、スルホニル尿素(SU)薬、チアゾリジン薬で治療が開始されていた18歳以上の糖尿病患者89万5,747人のデータを抽出した。

 大腸内視鏡検査でIBDが診断され治療が継続されていた記録のある患者をIBD新規発症と定義。DPP-4阻害薬とSU薬、およびDPP-4阻害薬とチアゾリジン薬とで、プール解析によりIBD新規発症リスクをそれぞれ比較検討した。

 DPP-4阻害薬による治療期間(中央値1.09~1.69年)でのIBD新規発症率は、10万人年につき11.6~32.3だった。これをSU薬およびチアゾリジン薬で治療されていた糖尿病患者のIBD新規発症率と比較すると、どちらの薬剤との比較においても有意なリスク増加は認められなかった。

 具体的には、DPP-4阻害薬(16万1,612人)とSU薬(31万550人)の比較では調整ハザード比0.82(95%信頼区間0.41~1.61)、DPP-4阻害薬(20万5,570人)とチアゾリジン薬(8万7,543人)の比較では同0.76(0.46~1.26)であり、いずれも有意でなかった。

 著者らは、「この研究結果はDPP-4阻害薬のベネフィットと潜在的なリスクを勘案している医師、患者を安心させるものだ」と述べている。なお、著者のうち数人が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2019年9月27日]

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