血糖管理強化による低血糖入院・救急受診が2年で約1万件――米報告

 血糖管理強化療法に伴う低血糖のため米国内で2年間に約1万件の入院・救急受診が発生したという報告が、米ハーバード大学医学大学院のGrace K. Mahoney氏らにより発表された。詳細は「Mayo Clinic Proceedings」8月15日オンライン版に掲載された。

 Mahoney氏らは2011~2014年の米国国民健康栄養調査(NHANES)から、米国内でHbA1c7%未満に管理されている糖尿病患者数を1,070万人(米国の糖尿病患者数の48.8%)と推計。このうちHbA1cが5.6%未満の者および2剤以上の血糖降下薬によりHbA1cを5.7~6.4%に管理されている者を、血糖管理強化療法を受けている患者とすると、HbA1c7%未満の患者の21.6%がこれに該当した。また、75歳以上の高齢患者またはADL低下や3つ以上の併存疾患を有する場合を臨床的複雑性が高い状態と定義すると、32.3%が該当した。

 続いてこれらのデータを基に、他の観察研究で報告されている低血糖の発生頻度を参照して全米の低血糖発生件数を算出。すると、HbA1c7%未満の糖尿病患者の集団から2年間で(NHANESは2年単位で実施されている)、低血糖による入院が3万1,511件、救急受診は3万954件発生したと推計された。そのうちの入院4,774件、救急受診4,804件は、血糖管理を強化したことに直接起因するものと考えられた。

 この結果から著者らは、「いまだに血糖管理強化療法が広く行われており、患者ごとの臨床的複雑性、予後予測などを考慮した個別化医療は普及していない。質の高い糖尿病治療とは、血糖管理のメリットとデメリットのバランスをとることで実現されるものだ」と述べている。結論として、「低血糖リスクのある患者は、そのリスクと治療コストなどの負担軽減のため、管理目標をより寛容な数値に変更することで、その恩恵を受けられる可能性がある」とまとめている。

[HealthDay News 2019年8月19日]

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