「糖尿病リスク予測ツール」を公開 3年後の糖尿病発症リスクを予測

2018.12.28
 健康診断の結果を入力するだけで3年後の糖尿病発症のリスクを予測するツール「糖尿病リスク予測ツール」の公開が開始された。
国立国際医療研究センター(NCGM)

3万人の健診データをもとに人工知能(AI)で開発

 日本では、糖尿病が強く疑われる人が約1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない人が約1,000万人と推計されている。糖尿病は、網膜症、腎症、神経障害の3大合併症に加えて、心血管疾患、がん、認知症などのさまざまな疾患のリスクを高める。健康寿命を延伸するため、糖尿病の予防対策は国民的な課題になっている。

 2型糖尿病は、遺伝的素因を背景に生活習慣などの環境要因や加齢の影響が加わることで、糖代謝能が徐々に悪化し、境界型糖尿病(糖尿病予備群)といわれる状態を経て発症する。糖尿病の初期段階では自覚症状がないことが多く、健康診断でのスクリーニングにより発見されるのが一般的だ。

 国立国際医療研究センター(NCGM)は、主に働く世代における糖尿病の予防対策を支援するために、この「糖尿病リスク予測ツール」を教育ソフトウェアと共同開発した。健康診断のデータを用いた自分の糖尿病発症リスクを把握することで、多くの人々が食事や運動といった生活習慣の改善に取り組むきっかけになることを期待している。

 「糖尿病リスク予測ツール」は、3年後の糖尿病発症のリスクを予測するツール。糖尿病と診断されたことのない30~59歳の人を対象としている。職域多施設研究「J-ECOHスタディ」で収集した約3万人の健康診断データにもとに、人工知能(AI)の機械学習の技術により開発された。

 体重、血圧、喫煙習慣などの基本項目(非侵襲的データ)のみによる予測と、さらに空腹時血糖値やHbA1cなどの血液データの追加でより精度の高い予測ができる。2つのどちらかを選択し、データを入力することで、3年後の糖尿病発症リスクとともに、同性・同年代の中での相対的な比較がグラフで表示される。

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糖尿病の予備群と言われたら
 NCGMは「糖尿病リスク予測ツール」を当初2018年10月に公開していたが、厚生労働省から「未承認の医療機器に当たるのでは」と指摘され、公開中止をしていた。その後、診断を目的としたものではなく、予測モデルにもとづいて予測結果を算出するものとして、説明文の修正などを行い、リスク予測の具体的な方法について補足したうえで、12月に再公開した。

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