肥満者の糖尿病予防に肥満治療薬ロルカセリンが有効

 肥満治療薬のロルカセリンは、前糖尿病や糖尿病のない肥満患者の血糖コントロールを改善し、糖尿病の予防に有用であることが、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のErin A. Bohula氏らが実施した研究で明らかになった。研究結果は欧州糖尿病学会(EASD 2018、10月1~5日、ベルリン)で発表され、論文は「The Lancet」11月号に掲載された。

 Bohula氏らは、アテローム性動脈硬化疾患を有するか、あるいはそのリスクが高い過体重または肥満(BMI 27以上)の患者1万2,000人を対象に、ロルカセリン10mg×2回/日投与群またはプラセボ群(いずれの群も6,000人)にランダムに割り付けて比較検討した。また、全ての患者には、生活習慣改善に基づく標準的な体重管理プログラムに参加してもらった。

 ベースライン時には、対象患者のうち56.8%は糖尿病患者で、33.3%は前糖尿病、9.9%は血糖値が正常であった。その結果、ロルカセリン投与群では、投与開始から1年後にはプラセボを上回る体重減少がみられ、その体重減少幅は糖尿病のある群では2.6kg、前糖尿病のある群では2.8kg、血糖値が正常な群では3.3kgであった。

 また、ロルカセリンの投与により、糖尿病の発症リスクは前糖尿病のある群では19%、糖尿病のない群では23%低下したことも分かった(ハザード比はそれぞれ0.81、0.77)。前糖尿病のある群では、ロルカセリン投与により正常血糖の達成率は有意ではないものの上昇した。さらに、糖尿病のある群では、プラセボ群と比べてロルカセリン投与により1年後のHbA1c値が0.33%低下した。

 以上の結果を踏まえ、Bohula氏らは「肥満や過体重の患者に対して、ロルカセリン投与は血糖コントロールを改善し、細小血管合併症リスクを低減することで、全体として糖尿病の発症リスクを抑えることが示された。今回の結果から、ロルカセリン投与は、体重と代謝指標を長期的に管理する生活習慣是正の一助となる可能性が示された」と述べている。

 なお、数名の著者はロルカセリンの製造者で、本研究に資金を提供したEisai社を含む複数の製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2018年10月9日]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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