1型糖尿病のポテンシャル 連載「インスリンとの歩き方」

1型糖尿病患者の遠藤伸司さんによる連載「インスリンとの歩き方」では、第26回「1型糖尿病のポテンシャル」を公開しました。連載「インスリンとの歩き方」へ ▶

連載「インスリンとの歩き方」

 執筆者の遠藤さんは、中学生の頃に1型糖尿病を発症。以来、約30年間の療養生活の中で、留学や進学、就職、そして転職、プライベートまで幅広い経験を積み、なにかと無理をすることもあったようです。

 連載では、そんな遠藤さんの半生を、糖尿病と上手につきあうためのコツやノウハウを中心に、実体験のエピソードを交えて語っていただきます。1型糖尿病患者さんをはじめ、2型糖尿病患者さん、糖尿病医療に携わる方々は、ぜひご一読ください。

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第26回 1型糖尿病のポテンシャル(本文より)

 今年の夏ほどではなかったが、2002年の8月も35度を超す日が続出した暑い夏だった。僕は外車のセールスの仕事をして、6年目になっていた。そして、いよいよ僕の会社の決算期である9月に突入した。

 うちの会社では、9月が1年間のセールスの締めくくりであり、第一回目の勝負の月だった。だから僕は9月は休日をとることなく、30日間全て遮二無二働き続けた。会社から休めと言われても、休んでトップセールスになれる千載一遇のチャンスを逃すのは、インスリンを打たずに1型糖尿病が悪化することと同じくらい後悔するに違いなかった。

 だから、車で移動しているときは、携帯の電話帳の「あ行」のお客さんから一件ずつ順に電話をし、ショールームでの勤務時間にも、あらゆる顧客に電話をしまくった。車が売れそうな脈が少しでもあれば、すぐにお客さんの家を訪問した。たとえ、商談が深夜1時まで及ぶことがあっても、僕は張り切って対応した。

僕の車の売り方

 僕はお客様から親近感を持ってもらうために、会話の中では、たえず相手の名前を呼ぶよう心がけていた。

 例えば、ショールームにいらっしゃったお客様に対して、ただ
「いらっしゃいませ」というのではなく、
「木村さま、いらっしゃいませ。何かお困りのことなどございましたでしょうか?」と声がけしたりした。

 また、電話を頂いたお客様に対しては、
「お電話有難うございます。細谷さま、何か、問題でもありましたか?」とこんな風に対応をした。

 ところが、テレビ局に就職した友人がショールームに来た時まで、この癖がでてしまい、
「遠藤ってさあ、何度も俺の名前を呼ぶよね、いったい、どうしたの?」

 名前を呼ばれて悪い気がする顧客がいるはずないだろう。そして、これもお客さんとの心の距離を縮める一つの方法なんだ。そして最後に車を売ることに繋げるんだ。そう説明して、この友人は少し納得してくれた。

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第26回 1型糖尿病のポテンシャル ▶

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編集部注:
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