1型糖尿病市場は2026年までに4,300億円に拡大 インスリンのバイオシミラーへの切り替えやインスリンポンプの普及がポイントに

2018.02.08
 1型糖尿病の日本を含む主要7ヵ国の医薬品市場の規模は、2026年までに4,300億円(39億ドル)規模まで拡大するという予想が発表された。

薬剤併用が増え「人工膵臓」の実用化も視野に入ってきた

 1型糖尿病の主要7ヵ国(米国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス、日本)の医薬品市場は、2026年までに4,300億円(39億ドル)規模まで拡大するとという予測を、コンサルティング会社のディシジョン・リソーシズ・グループ日本支店が公表した。

 1型糖尿病の治療では、高額の医薬品が使われるようになり、薬剤併用が増えている。新規の薬剤は既存薬からシェアを奪うと予測している。1型糖尿病の罹患数そのものも世界的に上昇している。

 この数年の変動として、新規超速効型インスリンアスパルト製剤「Fiasp」の上市や、インスリン製剤のバイオシミラーの品目が増え、SGLT2阻害薬クラスの1型糖尿病への承認などがある。

 「ランタス」「ノボログ」「ヒューマログ」などはバイオシミラーに代替され、ノボ ノルディスクの新しい超即効型インスリン「Fiasp」が既存品と入れ替わる可能性がある。これらの薬剤クラスは後期治療ラインで使用されるが、2026年までに相当な市場シェアを握ると予測している。

 1型糖尿病のアンメットニーズとして、血糖変動が大きいこと、インスリン注射へのアドヒアランスの不良、一部の患者でインスリンへの反応が予測できないことなどが挙げられる。

 解決策のひとつであるインスリンポンプは2026年まで進歩を続ける。1型糖尿病の成人と小児のインスリンポンプの使用は米国が顕著に多いが、今後は日本など他の国にも広がる可能性がある。そうなると、超速効型インスリン製剤の使用が促進された結果、持効型溶解インスリン製剤の常用は減る。

 完全自動化された「人工膵臓」システムの実用化も視野に入っており、ポンプを使用する成人・小児の割合が増加すると見込まれている。

 医療の進歩の恩恵を受け、1型糖尿病患者の寿命は主要国で延びており、生涯におよぶ外因性インスリン注射治療、1型糖尿病に対するSGLT2阻害薬の上市による薬剤併用の増加なども、1型糖尿病市場を押し上げる要因となる。

 インスリンは引き続き1型糖尿病の治療で不可欠で、SGLT2阻害薬は治療の補助的な役割を担うにとどまるが、一定のニーズはあると予測されている。

ディシジョン・リソーシズ・グループ

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