術前のリラグルチド投与で周術期の血糖値が安定化。非心臓手術施行予定の2型糖尿病患者で検討 [HealthDay News]
非心臓手術を施行予定の2型糖尿病患者に対し、術前にGLP-1受容体作動薬のリラグルチドを投与すると術後1時間の血糖値が低下することが、「Anaesthesia」12月12日オンライン版に掲載の論文で報告された。
アムステルダム大学学術医療センター(Academic Medical Centre Amsterdam)のJ.A.W. Polderman氏らは、非心臓手術を施行予定の18~75歳の2型糖尿病患者150人を対象に、術前にリラグルチドを投与する群(44人)またはグルコース・インスリン・カリウム(GIK)注入群(53人)、インスリンボーラス投与群(53人)にランダムに割り付けてオープンラベルで血糖値やインスリンの緊急投与の必要性などを比較検討した。なお、血糖目標値は144mg/dL未満に設定した。
その結果、術後1時間時点の血糖値(中央値)はGIK注入群(135mg/dL)およびインスリンボーラス投与群(137mg/dL)と比べてリラグルチド群(119mg/dL)で有意に低かった(P=0.006)。また、低血糖と術後合併症の発生率には群間差は認められなかった。術前の悪心はリラグルチド群では6例に認められたのに対し、GIK注入群とインスリンボーラス投与群では確認されなかった(P=0.007)。
以上の結果から、Polderman氏らは「非心臓手術を施行する2型糖尿病患者では、術前にリラグルチドを投与すると周術期の血糖値が安定化し、インスリン必要量が減少する一方で、術前の悪心の発生率は上昇することが分かった」と述べている。なお、2名の著者はNovo Nordisk社との利益相反(COI)に関する情報を開示している。
関連情報
関連ニュース
- 2018年04月05日
- 膵島移植で1型糖尿病患者のQOLが改善 第3相試験データを解析
- 2018年03月29日
- 1型糖尿病妊婦にクローズドループポンプ療法が有用 SAP療法とのクロスオーバー試験
- 2018年03月22日
- インスリン経鼻投与、短期投与の安全性に問題なし 長期的な安全性については要検討
- 2018年03月15日
- 1型糖尿病発症後早期の予後因子に人種差
- 2018年03月08日
- メトホルミンとスタチン系薬、卵巣がんとの関連みられず
- 2018年03月01日
- SGLT2阻害薬ertugliflozinの第3相試験、2型糖尿病患者の血糖コントロールを長期に改善
- 2018年02月27日
- 「海外の医学誌から」糖尿病関連論文をピックアップ
- 2018年02月22日
- 強化インスリン療法後のメトホルミンが膵β細胞機能の保持に有用 間欠的な強化インスリン療法との比較
- 2018年02月15日
- 抗VEGF療法後も継続する糖尿病黄斑浮腫の転帰を検討 ランダム化比較試験の事後解析
- 2018年02月08日
- 若年1型糖尿病患者の摂食障害がHbA1c高値と関連
関連コンテンツ
糖尿病情報スクランブル 新着記事
- 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
- 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。