GLP-1受容体作動薬「エキセナチド」の心血管系イベントに対する安全性を実証 総死亡率は低下

第53回欧州糖尿病学会(EASD)
 アストラゼネカは、35ヵ国687施設から1万4500例以上の症例が登録された「EXSCEL」(EXenatide Study of Cardiovascular Event Lowering)試験の全試験結果を明らかにした。広範な心血管リスクのある2型糖尿病患者で、GLP-1受容体作動薬「エキセナチド」(商品名:ビデュリオン)が、心血管リスク全般を増加させず心血管系イベントに対する安全性を示したことを発表した。
幅広い心血管系リスクを有する2型糖尿病患者を対象としたEXSCEL試験
 EXSCEL試験の重要な副次的評価項目、感度分析および地域データを含む全試験結果は、第53回欧州糖尿病学会(EASD)年次総会で発表され、同時に「New England Journal of Medicine」オンライン版に掲載された。

 それによると、週1回投与のエキセナチドは、プラセボとの比較で、心血管死・非致死的心筋梗塞もしくは非致死的脳卒中の複合評価項目であるMACE(Major Adverse Cardiovascular Events)の発現率の上昇を示さなかった(ハザード比: 0.91; 95%信頼区間: 0.83-1.00; p<0.001非劣性)。

 有効性の主要評価項目であったMACEの軽減については、統計上の有意差にわずかに届かなかったものの(p=0.061)、エキセナチド群において心血管イベントの発生はプラセボ群と比べて少数だった(839 [11.4%] vs. 905 [12.2%])。EXSCEL試験の心血管アウトカムの傾向は、昨今発表されたGLP-1受容体作動薬クラスのアウトカム試験の結果と一貫性がみられた。さらに、事前に規定した二次解析では、エキセナチド群における総死亡率は14%低いことが示された(ハザード比: 0.86; 95% 信頼区間: 0.77-0.97)。

 「2型糖尿病患者の総死亡リスクは、糖尿病のない人に比べて最大2倍、心血管死のリスクは4倍と言われている。2型糖尿病治療薬がこれらの患者の心血管疾患および関連合併症のリスクをさらに増大させることがあってはならない。今回のEXSCEL試験の結果により、エキセナチドが広範な心血管リスクのある2型糖尿病患者に、心血管リスクの増加をきたすことなく使用できることが検証され、総死亡の軽減にも影響する可能性が示唆された」と、オックスフォード大学糖尿病試験ユニットディレクター、糖尿病内科教授のRury Holman氏は述べている。

 MACEの複数の感度分析、すなわち異なる変数の影響をみるために仮定を変えてMACEの再算出を行った結果は、一次解析結果と一致していた。EXSCEL試験期間中に安全性の問題は起こらず、安全性データはエキセナチドの既知の安全性プロファイルと一貫したものだった。特に、2型糖尿病患者によくみられる微小血管合併症で、深刻な視覚障害や失明の原因となる網膜症には不均衡はなかった。

 アストラゼネカは、同データをビデュリオンの添付文書に反映させるために規制当局と協働するという。

Effects of Once-Weekly Exenatide on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes(New England Journal of Medicine 2017年9月14日)
[Terahata]

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