下肢PAD指導管理加算の全国普及率は約7割 AAA調査

平成28年度の診療報酬改定で「透析患者に対する下肢末梢動脈疾患指導管理加算」が新設され、透析クリニックでの足病に対する取り組みが進んでいます。この新加算を申請した都道府県の透析施設数は、全透析施設の71.3%に及んでいることが明らかになりました。

透析施設での下肢への取り組みが進んでいる

 平成28年4月より、透析クリニックですべての人工透析患者さんの下肢をチェックし、重症度の高い虚血のある患者さんを専門病院へ紹介する新たな指導管理加算が施行されました。これにより全国の透析クリニックでの足病に対する取り組みが進んでいます。先月横浜で開催された第62回日本透析医学会学術集会(埼玉医科大学・中元秀友学会長)でも足に関する多くの演題が集まり、透析領域での関心の高さが示されました。

 今回、一般社団法人 Act Against Amputation(以下略、AAA、代表理事:大浦紀彦・杏林大学教授)では、厚生労働省の出先機関である地方厚生局が公表する、新加算を申請した都道府県の透析施設数について集計を行いました。

制度創設からから1年、
全透析施設の約7割が新加算を申請!

 まず、新加算を申請した都道府県の透析施設数を、日本透析医学会施設会員名簿(2017年度)に記載されている4,026施設を分母として、各都道府県の普及率を算出したところ、全透析施設の71.3%(4,026施設のうち2,869施設)が申請を行い、制度を活用していることがわかりました。

 申請施設数と普及率の推移を月別で見てみると、着実に増加していることは明らかですが、申請率の伸び率は鈍化傾向です。

 「1年間余りで申請施設数の割合は、3割から7割まで上昇しました。透析患者さんの重症下肢虚血(CLI)において重要なことは、早期発見・早期治療です。この制度が浸透することで早期発見し、連携施設で治療する患者さんが増えれば、今までは手遅れだった症例が助かるようになります。ただ、CLIの治療を成功させるためには、実は早期発見・早期治療だけでは困難で、栄養とADL(日常生活活動度)の維持も欠かせません。これはCLIの臨床研究のさまざまなデータから示されています。今後、CLIの重症化予防が、足病から日常的なリハビリテーションや栄養に拡大してくれれば、透析患者の生命予後やQOL向上につながります」とAAAの大浦氏。

下肢末梢動脈疾患指導管理加算 「申請施設数の推移」
※日本透析医学会施設会員名簿2017年度より(全国4,026施設として)
下肢末梢動脈疾患指導管理加算 「申請施設数の推移」

普及率の高い都道府県は徳島県、大分県、兵庫県

 さらに、都道府県で見てみると、申請率の高い上位3県は、徳島県96.3%、大分県94.1%、兵庫県92.0%でした。

 この施設数データに、日本透析医学会が毎年公表している『わが国の慢性透析療法の現況(2015年末)』の都道府県の透析患者数を当てはめてみました。患者数では東京都(30,805名)、大阪府(23,199)、神奈川県(20,454)が上位3位で、施設数も同じ都府県が上位を占め、東京都(433施設)、大阪府(298施設)、神奈川県(249施設)。

 しかし、申請率では東京は69.1%、大阪府は75.5%、神奈川県は69.1%と患者数や施設数に比例して上がるものではなく、逆に、申請率上位の徳島県は施設数の全国順位で44位、患者数の全国順位で36位、大分県は同28位、同27位、兵庫県は同8位、同9位となっています。

普及率上位の地域
*JSDT施設数:日本透析医学会施設会員名簿2017年度版より
都道府県届出施設数JSDT施設数普及率(%)透析患者数(名)
1位徳島県252796.32,792
2位大分県465194.13,918
3位兵庫県14716392.013,374
4位福井県172085.01,824
5位愛知県15218583.817,826

 これについて大浦氏は、「地域によって足病連携の取り組みが遅れているところがありますが、これは透析施設だけの問題ではなく、その地区に足病の治療を行う創傷治療と血行再建を施行する専門病院との連携が少ないことも示しています」と分析し、「AAAは、これらの地区で奮闘する医師らに寄稿いただき、現場の状況をご紹介していく予定」と語っています。

PAD加算の普及率MAP
PAD加算届出状況

全都道府県の総合データは、下記よりご確認ください。
全国のJSDT施設数と普及率
都道府県届出施設数JSDT施設数普及率(%)透析患者数(名)
北海道15420874.0%15,338
青森県133240.6%3,497
岩手県153641.7%3,045
宮城県335856.9%5,395
秋田県203557.1%2,003
山形県213363.6%2,596
福島県406165.6%4,885
茨城県658081.3%7,986
栃木県537471.6%6,070
群馬県365961.0%5,948
埼玉県13718275.3%17,382
千葉県9914966.4%14,412
東京都28543465.7%30,805
神奈川県17325168.9%20,454
新潟県345166.7%5,022
富山県294072.5%2,506
石川県304075.0%2,647
福井県172181.0%1,824
山梨県133043.3%2,248
長野県446666.7%5,251
岐阜県516282.3%4,853
静岡県8511872.0%10,615
愛知県15618484.8%17,826
三重県384584.4%4,176
滋賀県324080.0%3,122
京都府617977.2%6,400
大阪府22530274.5%23,199
兵庫県15116691.0%13,374
奈良県344575.6%3,401
和歌山県274658.7%3,003
鳥取県142458.3%1,501
島根県152657.7%1,604
岡山県456173.8%4,920
広島県699374.2%7,599
山口県385371.7%3,518
徳島県282996.6%2,792
香川県274264.3%2,697
愛媛県404883.3%3,880
高知県273381.8%2,311
福岡県13918376.0%14,661
佐賀県213363.6%2,374
長崎県295750.9%4,006
熊本県507467.6%6,442
大分県495196.1%3,918
宮崎県235541.8%3,572
鹿児島県377251.4%5,499
沖縄県476572.3%4,409
全 国2,8694,02671.3%324,986
関連情報

「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」(下肢救済加算)の基礎知識と実践
透析クリニックでのフットケア
一般社団法人 Act Against Amputation
『わが国の慢性透析療法の現況(2015年末)』(日本透析医学会)

[dm-rg.net]
編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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