「ビクトーザ」が2型糖尿病患者の心血管リスクを低下 LEADER試験の新たな解析結果

2017.06.23
 GLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」が、2型糖尿病患者の心血管リスクを低下させることが、LEADER試験の新たな解析で示された。詳細は第77回米国糖尿病学会年次学術集会で発表された。

ビクトーザが心血管イベントによる死亡を22%低下

 LEADER試験は、主要な心血管イベントのリスクが高い2型糖尿病患者を対象に、ビクトーザあるいはプラセボを標準治療に追加投与し、ビクトーザ(最大1.8mgのリラグルチド)の長期の影響(3.5~5年)を検討した多施設、国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験。標準治療は生活習慣改善、血糖降下薬、心血管系治療薬で構成された。なお、この試験での用量は日本で承認されているものとは異なる。

 試験は2010年9月に開始され、3.5~5年間の観察が行われた。32ヵ国から参加した9,340例の2型糖尿病患者が無作為に割り付けられた。主要エンドポイントは心血管死、非致死性心筋梗塞または非致死性脳卒中のいずれかが最初に発現するまでの時間と定められた。

 追跡期間中央値(3.8年)における複合主要エンドポイントである心血管死亡、非致死性心筋梗塞または非致死性脳卒中のリスクを、ビクトーザはプラセボと比較して13%有意に低下させた。ビクトーザを使った治療は心血管イベントによる死亡を、プラセボに対して有意に22%低下させ、また、有意ではないものの非致死性心筋梗塞ならびに非致死性脳卒中のリスクを低下させた。

 LEADER試験の全患者集団では、いずれの群においても、重大な低血糖を経験した患者で主要な心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中)、心血管死、非心血管死のリスクが上昇していた。心血管イベントリスクは、重大な低血糖の発現から60日以内で増大した。ビクトーザ群では、プラセボ群と比較して、重大な低血糖の発現件数は有意に少ない結果になった。

 「重大な低血糖を経験する患者は、心血管イベントリスクが高い人たちと考えられる。ビクトーザの重大な低血糖の発現件数の少なさは、LEADER試験で認められた重大な心血管イベントに対する有用性に寄与すると考えられるが、今回の解析からは、この結果を低血糖の差だけでは説明しきれないことを示唆している」と、HCA Midwest Health Cardiovascular ServicesのメディカルダイレクターでありLEADER試験運営委員会の共同委員長であるスティーヴン P. マルソ氏は述べている。

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