解説『糖尿病診療ガイドライン2016』 糖尿病に合併した脂質異常症の管理

2017.03.03

糖尿病合併症の話題を集約した「Diabetic Complication Topics」(DCT)は、第3回「『糖尿病診療ガイドライン2016』にみる糖尿病に合併した脂質異常症の管理」を公開しました。今回は、昨年発行された『糖尿病診療ガイドライン2016』で大幅改訂された「糖尿病に合併した脂質異常症」について、横手 幸太郎 先生(千葉大学大学院 医学研究院細胞治療内科学講座教授)にお話をうかがいました。「Diabetic Complication Topics」へ ▶

Diabetic Complication Topics 第3回(本文より)
『糖尿病診療ガイドライン2016』にみる糖尿病に合併した脂質異常症の管理

日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン 2016』が昨年発行された。2004年の初版発行以来改訂を重ねており今回は第5版にあたる。今改訂では第4版までと異なりCQ(Clinical Question)方式を採用し、推奨グレードを2段階にするなどの変更があった。脂質異常に関しては「糖尿病に合併した脂質異常症」として章立てされているほか、細小血管症抑制に向けた介入の意義にも検討が加えられている。本ガイドライン策定委員の一人である横手幸太郎氏に、脂質異常に関連するステートメントを中心に解説いただいた。

クリニカルクエスチョン方式を採用し、
実臨床での疑問に即した構成に様変わり

──第4版までのステートメント方式からCQ・Q方式に変更されたのは、どのような理由からでしょうか?

 診療ガイドラインの多くはこれまで各学会がそれぞれの形式で作成していました。しかし近年、日本医療機能評価機構のMindsが推奨する、まずクエスチョンを立てそれに対しエビデンスをもって回答するという形式が増えています。

Minds(マインズ)
 Minds(Medical Information Network Distribution Service)は、公益財団法人日本医療機能評価機構が運営している医療情報サービス。国内の診療ガイドラインの収集、評価、提供、および作成の支援や、EBM(根拠に基づく医療)の普及啓発活動を進 めている。質の高い医療の実現を目的として、国内で策定される診療ガイドライン(医療従事者向けと患者向けの両者)をWeb上で公開している。

 これは世界的な潮流です。日本糖尿病学会でも今回からこの形式を採用しました。ガイドライン策定委員から挙がってきた多数の臨床的疑問の中から特に重要と思われるものを取捨選択し、それらをClinical Question(CQ)またはQuestion(Q)として掲げた上で、ステートメント(推奨文)を提示し、その背景を「解説」としてまとめています。結果的に500ページ以上と従来よりもかなり厚くなりました。

 なお、CQとQの違いですが、前者はシステマティックレビュー(SR)を行い推奨グレードとともにステートメントを示し得るもの、後者は必ずしもSRによらずコンセンサスレベルも含むステートメントです。またCQについては、エビデンスレベルやコストなどを勘案して「強い推奨(グレードA)」または「弱い推奨(グレードB)」のいずれかの推奨グレードを、策定委員の合意率とともに付しています。

続きはこちら...第3回 『糖尿病診療ガイドライン2016』にみる
糖尿病に合併した脂質異常症の管理 ▶

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料