メトホルミンが1型糖尿病の心血管リスクを低減 [HealthDay News]
経口の2型糖尿病治療薬であるビグアナイド薬(メトホルミン)は、1型糖尿病患者の心血管リスクを低減し、心血管保護に働く可能性のあることが、「Cardiovascular Diabetology」オンライン版に8月26日掲載の論文で示された。
今回の研究では、(1)8週間のメトホルミン治療を行った、明らかな心血管疾患(CVD)の既往歴のない成人の1型糖尿病患者群(23人)と(2)標準治療を行った1型糖尿病患者群(9人)、(3)年齢や性をマッチさせた健康なボランティア群(23人)の3群を対象に、内皮細胞の数や機能などを解析し、比較検討した。血糖コントロール状況には変動が生じないよう、インスリン投与量を調整した。
解析の結果、メトホルミンを服用した1型糖尿病患者群では、血管修復を示す複数のマーカーが改善していることがわかった。さらに、研究チームは、こうした患者群では、血管内皮前駆細胞(EPC)やCFU-Hillコロニー、血管内皮細胞、血管新生細胞の数や機能が改善したことを確認し、こうした改善は血糖コントロールとは独立したものであることも判明した。
論文責任著者で英ニューカッスル大学のJolanta Weaver氏は、HealthDayの取材に応じ、「今回われわれは、基礎研究や臨床研究で共通して報告されている、メトホルミンが心保護に働く機序を明らかにした」と研究の意義を強調しつつ、糖尿病患者における心疾患治療の新たな薬剤開発につながるとの期待を述べている。
記事原文 [HealthDay News 2016年9月6日]
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