インスリン、IGF-1両受容体欠損に伴う脂肪組織の変化 [HealthDay News]

 インスリン受容体(IR)、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)、あるいはその両方を欠損したマウスでは、白色脂肪組織(WAT)と褐色脂肪組織(BAT)の形成過程に障害が生じ、これらの受容体がいずれも欠損したマウスでは、WAT、BATはいずれもほぼ完全に形成されないことが、「Diabetes」オンライン版に5月13日掲載の論文で報告された。

 米ハーバード大学医学大学院(ボストン)のJeremie Boucher氏らは、アディポネクチン遺伝子のプロモーター制御下でCreリコンビナーゼを発現するマウスを用いて、IR欠損(F-IRKO)マウス、IGF1R欠損(F-IGFRKO)マウス、またはその両方を欠損する(F-IR/IGFRKO)マウスを作製した。

 解析の結果、F-IGFRKOマウスはWAT量とBAT量が約25%減少し、IRとIGF1Rの両方を欠損したF-IR/IGFRKOマウスは、WATとBATはいずれもほぼ完全に形成が認められなかった。一方で、F-IRKOマウスはWAT量が95%減少していたが、BAT量は50%増加しており、大きな単房性の脂肪滴(unilocular lipid droplet)の蓄積がみられた。

 F-IRKOマウスとF-IR/IGFRKOマウスは寒冷下で体温を維持することができず、さらには重症の糖尿病の発症や、肝臓および筋肉の異所性脂質の蓄積、膵島細胞の過形成が認められた。これらのマウス群では、血糖値はレプチン投与により正常値まで回復した。また、12カ月齢までに、リポジストロフィー(脂肪栄養障害)とインスリン抵抗性はみられたものの、血糖値は自然に改善した。

 以上の結果を踏まえ、著者らは「IRを欠損すると白色脂肪の形成が阻害されるが、褐色脂肪の形成や維持機構は障害されないことがわかった。しかし、正常な褐色脂肪の形成機能や体温調節を維持するには、IRが必要なことも判明した」と述べている。

 著者の1人は英AstraZeneca社研究開発部の従業員であった。(HealthDay News 2016年5月23日)

記事原文 [2016年5月23日/HealthDayNews]

参考資料
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[dm-rg.net]

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