週1回投与の持続性DPP-4阻害薬「マリゼブ錠」 世界に先駆けて日本で発売

2015.11.27
 MSDは11月26日に、週1回投与の持続性DPP-4阻害薬「マリゼブ錠25mg/12.5mg」(一般名:オマリグリプチン)を発売した。

週1回の投与で効果が1週間持続するDPP-4阻害薬

 「マリゼブ」は、週1回の投与で血糖値をコントロールする長時間作用型の新規DPP-4阻害薬。国内第3相臨床試験では、連日投与の選択的DPP-4阻害剤である「ジャヌビア」(一般名:シタグリプチン)と同様の有効性と忍容性が確認された。

 第3相試験ではマリゼブ25mgの週1回の単剤投与により、ベースライン時に比べ24週時にHbA1cは-0.66%となり、プラセボに対する優越性が示された。空腹時血糖値は-19.4mg/dL、食後2時間血糖値は-42.4mg/dLとそれぞれ改善した。

 他の経口糖尿病治療薬と併用した24週盲検では、HbA1cはSU薬で-0.84%、速効性インスリン分泌促進薬で-0.68%、ビグアナイド薬で-0.94%、チアゾリジン薬で-0.88%、αグルコシダーゼ阻害薬で-0.74%とそれぞれ改善した。

 主な副作用である低血糖の発現率は、マリゼブ単剤で0.4%、SU薬併用で4.8%、速効性インスリン分泌促進薬併用で1.0%、ビグアナイド薬併用で2.0%、チアゾリジン薬併用で2.0%、αグルコシダーゼ阻害薬併用で0.0%となっている。

 「マリゼブ」の血中半減期は82.5時間で、(1)肝臓で代謝をほとんど受けない、(2)特定の組織に蓄積せず、体内に広く分布するため、腎臓での単位時間あたりの濾過量が少ない、(3)腎糸球体で濾過されると大部分が尿細管で再吸収される――という薬物動態メカニズムにより効果が1週間持続する。

 同社によると、経口糖尿病治療薬の服薬アドヒアランスの低下の背景として、(1)慢性疾患における服用遵守率は低く、平均で50%程度と考えられる、(2)糖尿病において、低血糖、体重増加、腸管障害などの副作用が、低い服用遵守率の要因となる、(3)糖尿病治療薬の服用遵守率は、服用薬剤数や、服用レジメの複雑さに関連する――が挙げられる。「週1回の投与で効果が1週間持続するマリゼブは、患者の服薬負担の軽減と治療継続意欲や服薬アドヒアランスの向上に貢献できる」としている。

DPP-4阻害薬への期待

 11月27日に開催された同社主催のメディアセミナーでは、石井均・奈良県立医科大学糖尿病学講座教授が「患者一人ひとりに適した糖尿病治療の重要性」と題し講演した。

 石井教授は、DPP-4阻害薬への期待として、(1)血糖降下作用(朝食前、食後高血糖に対する有効性。SU薬などの他剤不十分例にも効果がある)、(2)単独使用で低血糖がほとんどない、血糖値依存的な血糖低下、(3)体重増加を認めない、(4)副作用の発現頻度が少ない、(5)作用が長時間持続する――を挙げた。

 石井教授らが糖尿病患者のQOL測定をより簡便に行うために開発した質問票「DTR-QOL」(Diabetes Therapy Related QOL)を用いた例で、SU薬からDPP-4阻害薬へ薬剤変更してQOLが2倍になった症例を紹介した。DTR-QOLは、ダウンロード版PDFやiPad専用の無料アプリが提供されている。

 2型糖尿病患者の服薬利便性として「飲み忘れがない」「薬の時間遵守」「薬の回数」を重視している点を指摘し、患者の多くが経口薬を「毎日服用」するよりも「週1回投与」を望んでいることを示した海外のデータを紹介した。

持続性DPP-4阻害薬「マリゼブ錠25mg」
患者用パッケージ付きPTPシート(2錠)
服薬アドヒアランスの向上を促すための製品パッケージを工夫してある

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