「アイリーア」の糖尿病黄斑浮腫を対象とした第3相試験 3年目の結果

2015.09.29
 バイエル ヘルスケアは、糖尿病黄斑浮腫(DME)による視力障害の治療薬「アイリーア」(一般名:アフリベルセプト硝子体内注射液)の第3相臨床試験である「VIVID-DME」試験の3年目の結果を、ニースで開催された第15回欧州網膜学会議(EURETINA)総会で発表した。

最高矯正視力(BCVA)の改善が3年目まで維持

 同試験で被験者は、アイリーア2mgを4週ごとに投与する群(n=136)、アイリーア2mgを4週ごとに5回投与後、8週ごとに投与する群(n=135)、対照群であるレーザー光凝固術群(n=132)のいずれかに無作為に割り付けられた。3年目以降、レーザー光凝固群の被験者は治験実施計画書の再投与基準(PRN投与)にもとづき、アイリーア2mgが投与された。

 ベースラインから3年目のBCVAの平均変化量は、アイリーアを4週ごとに投与した群では10.3文字、アイリーアを4週ごとに5回投与後、8週ごとに投与した群では11.7文字でした。一方、レーザー光凝固群では1.6文字だった。

 さらに、3年目において、ベースラインから15文字以上(臨床試験で視力を測定する際に標準的に用いられているETDRS視力表で3行以上)の有意な視力改善を維持した患者の割合は、アイリーアを4週ごとに投与した群では41.2%、アイリーアを4週ごとに5回投与後、8週ごとに投与した群では42.2%だったのに対して、レーザー光凝固群では18.9%だった。

 同試験において、有害事象の発現率は、アイリーア群とレーザー光凝固群で同様だった。また安全性の結果は、VIVID-DME試験およびVISTA-DME試験の1年目および2年目のデータ、および既知のアイリーアの安全性プロファイルと同様だった。

 アイリーア群の有害事象は結膜出血、白内障、眼圧上昇などで、した。アイリーア群でよく見られた眼以外の有害事象は、鼻咽頭炎、高血圧などで、硝子体内の抗VEGF療法を受けている糖尿病患者を対象とした他の試験でも典型的にみられる事象だった。

 Anti-Platelet Trialists' Collaboration(APTC)により定義された動脈血栓塞栓事象(非致死性の脳卒中、非致死性の心筋梗塞、血管死)が発現した患者は、アイリーアを4週ごとに投与した群では136人中14人(10.3%)、アイリーアを4週ごとに5回投与後、8週ごとに投与した群では135人中6人(4.4%)、レーザー光凝固群では133人中7人(5.3%)だった。

 アイリーアは、滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)、DME、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)に伴う黄斑浮腫の治療薬として承認されている。欧州、日本、米国では、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)やCRVOを含む網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫の治療薬として承認されている。さらに日本、タイ、韓国では、病的近視における脈絡膜新生血管の治療薬としても承認されている。

 「視力障害を患う患者に対して、視力を改善し、長期的に維持できる機会を提供することは極めて重要。それゆえ、患者が1年目に達成した視力改善が3年間にわたり維持されたことを示すデータは大変有望だ」と、ボルドー大学病院眼科主任のジャン-フランソワ・コロベルニク教授は述べている。

アイリーア(バイエル薬品)

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