2型糖尿病とCKDの共同研究を開始 AZとフランス国立保健医学研究所

2015.06.29
 アストラゼネカは、フランス国立保健医学研究所(Inserm)と3年間にわたる共同研究を実施し、2型糖尿病と慢性腎臓病(CKD)の新たな治療アプローチを検討すると発表した。
 同共同研究の各プロジェクトは、フランスにあるInsermの拠点、およびスウェーデンにあるアストラゼネカの研究拠点に所属する研究者の合同チームにより実施される。重点的に取り組むのは、以下の3つの領域――

・ CKD治療への経路としての鉱質コルチコイド受容体(MR)活性の理解
 過剰なMR活性はCKD発症の重要なメカニズムだが、同受容体はまた、体内の電解質バランスを維持するうえで必要不可欠な働きをする。同社は、パリにあるCordeliers研究所(Inserm unit 1138)Frederic Jaissser教授率いるチームとともに、CKDの治療薬となりうるMR活性の複雑性を解明することを目指す。

・ インスリンに対する組織感受性の向上
 健康な人の脂肪細胞では、食事摂取時(エネルギー過剰状態)に脂肪を蓄積し、空腹時に放出するが、肥満かつインスリン抵抗性のある患者では、過剰脂肪組織が脂肪を際限なく血中に放出する。その結果、肝臓や筋肉などの組織に脂肪が蓄積し、組織上でインスリン作用への抵抗を引き起こし、2型糖尿病を発症しやすくなる。同社はフランスのトゥールーズにあるInserm/Paul Sabatier大学代謝・循環器疾患研究所(I2MC、Inserm unit 1048)のDominique Langin教授率いるチームとともに、血中への脂肪の放出を抑制し、脂肪の沈着を正常化し、末梢組織のインスリン感受性を高める薬理学的方法を模索する。

・ インスリン産生能力喪失を探求
 膵臓に存在するβ細胞はインスリンを産生し放出する。2型糖尿病でらはβ細胞の数とインスリンを産生し分泌する能力の両方が低下します。同社は、パリにあるthe Inserm/パリ大学-Descartes unit 1016"Cochin Institute"のRaphaël Scharfmann教授率いるチームとともに、インスリンを産生・放出する能力を喪失したヒトβ細胞のモデルを開発し、この生物学的な影響や治療によってこうした異常がどのように補正されるのかを解明する。

フランス国立保健医学研究所(Inserm)
 1964年に創立されたInsermは、公的な科学技術研究機関で、フランス政府の国民教育・高等教育・研究省および厚生・女性権利省が合同監督している。Insermは約1万5,000人の研究者、エンジニア、技術者、博士課程修了の学生と300超の研究所を擁する、ヒトの健康に全面的に特化するフランス唯一の公的研究機関。

アストラゼネカ

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