人工多能性幹細胞で新薬を開発 ハーバード幹細胞研究所と共同研究で提携 AZ

2015.04.07
 アストラゼネカは、ハーバード幹細胞研究所(Harvard Stem Cell Institute: HSCI)と5年間の共同研究に関する契約を締結したと発表した。同社は、糖尿病の新規治療薬の探索において、同社の化合物ライブラリを用いた候補化合物の選定のため、HSCIより幹細胞からヒト膵臓β細胞を作成する技術を導入するという。
 共同研究の目的は、糖尿病におけるβ細胞の機能低下のメカニズムを解明することで、研究結果は査読のある学術誌への掲載を通じて公開する予定。

β細胞機能を取り戻す新薬を開発

 現在、研究用のヒトβ細胞は、数量が限られており入手が極めて困難な状況だ。しかし、HSCI共同代表およびハワード・ヒューズ医学研究所の研究者であるDoug Melton教授が率いるチームは、成人細胞から直接生成されたヒト人工多能性幹細胞を用いて、健常者成人β細胞とすべての重要な点で類似した細胞を作成する技術を開発。β細胞を際限なく作成することを可能にした。

 アストラゼネカはMelton教授が率いるHSCIの研究者チームに対し資金を提供するとともに、スウェーデンのムンダールに本共同研究専任の社内チームを発足させる。各組織の研究者たちは、ヒト人工多能性幹細胞から作成されたβ細胞を用いて、糖尿病におけるβ細胞の機能低下や細胞数減少の背景にある生物学的メカニズムを究明し、また、化合物のスクリーニングを行うことにより糖尿病患者のβ細胞機能を取り戻す可能性のある新しい薬の開発を目的とした共同研究を行う。

 同社とHSCIは、「Melton教授のグループはヒト幹細胞をヒトβ細胞に分化させる研究を卓越した業績で進展させている。このヒトβ細胞を作成する技術をうまく利用すれば、糖尿病患者の新しい治療を目指した研究開発が大きく変わる可能性がある」「糖尿病患者のインスリン注射の必要性を改善し、多くの致死的な糖尿病合併症を予防する新薬の開発を進展させたい」と述べている。

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