インスリン療法中の2型糖尿病患者 HbA1c7%未満の半数以上が低血糖を懸念

2014.02.26
 インスリン治療を行っている患者の7割は主治医が決めた治療目標を知っているが、うち7割は目標値(HbA1c値)を達成していないことが、ノボ ノルディスク ファーマが行ったアンケート調査で明らかになった。調査は1月~2月にインターネットで実施し、インスリン自己注射を行っている2型糖尿病患者407人が回答した。

 低血糖の発現を気にする程度について尋ねたところ、HbA1c7%未満の患者の55%が「低血糖を気にする」と回答。HbA1c8%以上の患者の40%も同様に回答しており、低血糖に対する懸念が根強いことが示された。また、高血糖と低血糖の重要度を分析したところ、HbA1c7%未満の患者の45%、およびHbA1c8%以上の30%が、「高血糖よりも低血糖の方が気になる」と回答した。

 血糖値が安定せずにバラつきがでる原因について患者に尋ねたところ、「食事」、「運動」、「ストレス」が理由の上位を占めた。一方、「インスリンの種類」、「単位数」、「タイミング」など製剤が原因だと考えている患者は約4割おり、うち半数以上が低血糖の発現を気にしていた。

 調査結果について、東京医科大学内科学第三講座(糖尿病・代謝・内分泌内科)の小田原雅人主任教授は「糖尿病合併症のない患者群の血糖コントロールが、合併症のある患者群よりも悪い傾向も示され、早期から血糖値を良好に保つことの重要性について注意喚起する必要性が示唆された。低血糖の発現を重要視している患者が多く、血糖コントロール不良ながら低血糖を気にしている患者が少なからずみられた」と述べている。

 小田原主任教授は、持効型溶解インスリン製剤デグルデク(トレシーバ)について、▽1日1回の投与で平坦な血糖降下作用を示し、その効果は24時間を超えて持続する、▽夜間低血糖の発現頻度が減る、▽プレフィルド型ペン型注入器「フレックスタッチ」を使用できる――などを指摘。

 持効型溶解インスリン製剤の使用により、夜間の血糖値が安定する傾向が認められる。夜間低血糖リスクを高めずに空腹時血糖値を是正し、血糖コントロールの目標達成を目指すことができるインスリン製剤は治療の選択肢となるという。

 「医師からインスリン導入を勧められても拒否反応を示す患者が少なくないが、血糖コントロールが悪くなる前に積極的にインスリン製剤を導入することが必要。インスリン療法に対し前向きに取り組んで欲しい」と、小田原主任教授は強調している。

ノボ ノルディスク ファーマ

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