DPP-4阻害薬「トラゼンタ」 メトホルミンとの併用療法でHbA1c2.8%低下
2013.12.13
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーは、2型糖尿病と診断されてから12ヵ月未満で、血糖コントロールが不十分な薬物療法未実施の成人患者を対象に、DPP-4阻害薬「トラゼンタ」(一般名:リナグリプチン)単独療法および「メトホルミン」との併用療法(1500mgまたは2000mg)を評価した第4相試験の結果を、メルボルンで開催された国際糖尿病連合(IDF)世界会議で発表した。両群ともにHbA1cは有意に低下し、単独療法と比較して併用療法のほうがHbA1c低下作用は優れるという結果になった。
試験では、平均HbA1c9.8%の成人2型糖尿病患者316名を、リナグリプチン1日1回の単独療法群(n=157)と、リナグリプチン1日1回にメトホルミン1日2回(最大投与量2000mg/日)を投与初期から投与した併用療法群(n=159)に無作為化割り付けを行い、二重盲検下にて24週間にわたり観察した。
リナグリプチン単独療法とリナグリプチン+メトホルミンの併用療法により、HbA1cはベースラインからそれぞれ2.0%、2.8%と有意に減少した。24週目にHbA1c7%未満の目標を達成した患者の割合は、それぞれ39%と61%だった。
どちらの治療群も副作用や重篤な有害事象はほとんどなく、低血糖の発現率は、リナグリプチン単独療法およびリナグリプチンとメトホルミンの投与初期からの併用療法でそれぞれ3.2%と1.9%だった。体重は併用療法群で1.3kg減少した。
リナグリプチンは、ベーリンガーインゲルハムとイーライリリーが共同販促を行っているDPP-4阻害薬。肝臓でほとんど代謝を受けず主に未変化体で胆汁に排泄されるため、腎機能・肝機能の程度に関わらず同一用量で投与できる。日本ではリナグリプチンは、作用機序の異なる他の血糖降下薬(SU薬、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、インスリン製剤)との併用が可能で、「2型糖尿病」の効能・効果を有している。
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]