糖尿病の心理社会的な負担は大きい 「DAWN2」の結果発表

2013.07.05
 ノボ ノルディスク ファーマは、日本を含む17ヵ国、1万5,000人以上の糖尿病患者とその家族、医療従事者を対象とした国際研究「DAWN2」調査の結果を発表した。「DAWN2」は、糖尿病の心理社会的な側面に焦点をあてた調査で、ノボ ノルディスクが国際糖尿病連合(IDF)、国際患者団体連合(IAPO)、ステノ糖尿病センターなどとの連携を通じて行っている。調査結果は、シカゴで開催された第73回米国糖尿病学会(ADA)でも発表された。

糖尿病患者
・糖尿病の教育プログラムや活動への参加の割合は日本では高かった(全体平均:58.6%、日本:75.5%)。日本の患者は、参加した教育プログラムは役に立ったと回答している(全体平均:79%、日本:85.9%)。
・日本の患者は、職場や地域社会などで支援を得られていないと感じている傾向がある。友人または身近な人(全体平均:59.9%、日本:18.8%)、職場または学校の人(全体平均:24.8%、日本:7.3%)、他の地域社会(全体平均:28.9%、日本:5.1%)から支援が得られている割合は低かった。
・多くの患者が慢性疾患に対するパーソン センタード ケア(心理社会的側面も配慮した「その人中心のケア」)を受けていないと回答した。糖尿病がどのように生活に影響を与えているかについて、医療チームから尋ねられたことがあると回答した割合が日本は低かった(全体平均:16.9%、日本:11.2%)。

家族
・家族は、糖尿病の患者と生活することで良い影響もあると回答している(全体平均34.5%、日本:21.8%)。
・家族は糖尿病である家族をサポートすることが、中程度以上の負担であると感じている(全体平均33.7%、日本:56.9%)。
・家族は、家族の糖尿病ケアに今より多く関わっていきたいと考えており(全体平均:38.7%、日本:46.7%)、糖尿病に向き合う気持ちを助けていきたいと考えている(全体平均:45.6%、日本:45.8%)。

医療従事者
・過去12ヵ月に定期的に来院した患者に対して、慢性疾患に対するパーソン センタード ケアを提供したと半数前後の医療従事者が感じていた(全体平均:61.9%、日本:44.9%)。たとえば、傾聴、励まし、自己管理を勧めるなどの実践的なサポート、あるいはコミュニケーションのサポートを提供したと回答した。
・半数以上の医療従事者は、糖尿病が生活にどんな影響を与えているか尋ねたと回答しているが(全体平均:52.0%、日本:37.3%)、日本はいずれも平均より低かった。

 調査結果について、日本の主任研究者である石井均・天理よろづ相談所病院副院長は、「日本ではHbA1c、血圧、体重といった客観的な指標の確認は世界でもトップレベルだが、糖尿病をもつ方の気持ちや自己管理など、心理社会的状態についての確認はあまりなされていない状況があきらかになった。医療従事者やご家族は、糖尿病をもつ方が自己管理に対するモチベーションを維持するうえで重要な存在であり、そのための効果的な支援やコミュニケーションの方法が検討される必要がある」と述べている。

ノボ ノルディスク ファーマ(株)
DAWN(Diabetes Attitudes, Wishes and Needs) - Novo Nordisk A/S

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