高齢患者の治療目標を個々に設定 ビルダグリプチンを使用した多施設試験

2013.06.18
 高齢の2型糖尿病患者を対象に対して、個々に設定した治療目標値の達成率を主要評価項目とした場合、ビルダグリプチを使った治療によって達成可能であることが、多施設で実施された「INTERVAL試験」の結果から示された。英Exeter大学医学部のDavid Strain氏らが、「ランセット」オンライン版に5月23日付で発表した。

 INTERVAL試験は、DPP-4阻害薬「ビルダグリプチン(製品名:エクア)」の有効性を検証した24週間にわたる多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験。欧州(ベルギー、ブルガリア、ドイツ、フィンランド、スロバキア、スペイン、英国)の外来診療機関45施設から278人の患者が参加した。

 同試験は、70歳以上の2型糖尿病患者のうち、未治療、またはコントロールが不十分で、HbA1c値が7.0%以上10.0%以下である患者(平均HbA1c値 7.9%)を対象とし、各国のガイドラインに従って、年齢、投与前のHbA1c値、合併症や患者さんの状態にもとづいて、医師が個別の治療目標値を設定した。患者さんは、ビルダグリプチン投与群(50mgを1日1回または1日2回)とプラセボ群のいずれかに無作為に割り付けられた。

 治療目標値の達成率は、プラセボ群の27%に対して、ビルダグリプチン投与群では52.6%だった(調整オッズ比 3.16、96.2%CI 1.81~5.52、p<0.0001)。投与前と比較したHbA1c値の低下は、プラセボ群の0.3%に対し、ビルダグリプチン投与群では0.9%だった(両投与群の差0.6%、98.8%CI -0.81~-0.33、p<0.0001)。低血糖症の発現率は低く、膵炎や臨床的に重大な肝臓関連事象の報告はなく、新たな安全性に関する兆候は認められなかった。

 65歳以上の高齢者の2型糖尿病有病率は約20%。高齢患者は、合併症を有する率が高く、また身体的な障害、認知障害、身体の状態に関わる負担が大きいことや、低血糖症などのリスクが高く、複数の薬剤の併用頻度が高いことから、血糖コントロールが困難になっている。INTERVAL試験ではコントロール不良例や、運動障害のある例、合併症を有する例を中心に、高齢患者の約40%が転倒を経験していることが示唆された。

 同試験は、医師が個別に設定したHbA1c目標値を評価項目として導入。従来使用している経口糖尿病薬に加えて、ビルダグリプチンによる治療を受けた高齢患者は、プラセボを投与された患者さんに比較してHbA1c値がより大きく低下し、個別の治療目標値の達成のしやすさは約3倍であり、忍容性に大きな問題は認められなかった。

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