ビクトーザによる早期治療で血糖コントロールが改善 EASDで発表

2011.09.30
 ポルトガル・リスボンで9月に開催された第47回欧州糖尿病学会(EASD)で、ビクトーザの臨床試験2件について発表された。

 国内初のGLP-1受容体作動薬であるビクトーザは、血糖値に応じて血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌を促進させ、同時に血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制する。1日1回の皮下注射で血糖改善効果を示し、単独療法では低血糖を起こしにくく、体重増加を起こしにくいという特徴がある。

 2型糖尿病はインスリンを分泌する膵β細胞の機能が徐々に低下する進行性の慢性疾患だが、国内外の臨床試験では、ビクトーザ投与後に、膵β細胞機能指標の改善が認められた。

(1)ビクトーザの投与を治療早期に開始するとHbA1cの目標値(7%未満)の達成率が高い

 ビクトーザを26週間投与した患者4,626症例を対象としたサブ解析で、未治療または経口薬1剤のみで治療していた患者群で、2剤以上の経口薬のみ治療していた患者群に比べ、ビクトーザはより高い血糖改善効果を示した。EASDのHbA1cの目標値である7%未満の達成率は、ビクトーザ1.8mgで早期に治療を開始した患者群で72%であったのに対し、後期に治療を開始した患者群では49%(p<0.0001)だった。

 また、ビクトーザ1.8mgで早期に治療を開始した患者群では、HOMA-β値がベースラインから41.3%改善されたのに対し、後期で開始した患者群では、23.8%(p=0.0037)にとどまったことから、ビクトーザの早期投与により膵β細胞機能を改善する可能性が示唆された。

 「ビクトーザは糖尿病治療のすべての段階で使えるという点で心強い。特に、未治療または経口薬1剤での治療後に、ビクトーザを早期に投与された患者群で、膵β細胞機能指標のより大きな改善がみられ、血糖コントロールの目標値の達成率も高いとの結果が出た」とオックスフォード大学のデイビッド マシュー教授は述べている。

(2)経口薬からビクトーザ(注射薬)の1日1回投与に切り替えると患者満足度が改善

 メトホルミンに追加し、経口薬のDPP-4阻害薬から注射薬であるビクトーザへの切り替えることで、HbA1cの有意な低下と体重の有意な減少が得られ、全般的な治療満足度も改善した。治療満足度は切り替え後52週と78週に、DTSQ(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire)を使い評価された。

 ビクトーザへ切り替えた患者群では、現在の治療であるビクトーザを「(他者に)薦めたい」「継続したい」という回答が高いスコアを示し、全般的な治療満足度が改善した。注射薬であるビクトーザの1日1回投与はまた、経口薬であるシタグリプチンによる治療と等しく簡便で融通がきくとの評価も得られた。

 「ビクトーザへ切り替え後に患者さんの全般的な治療満足度が改善しているのは、ビクトーザによる治療効果の改善や体重減少が寄与しているからと考えられる。ビクトーザは、効果と患者満足度という2つの患者ニーズに応えている」とバルセロナ大学医学部のエドワルド モンターニャ教授は述べている。

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