医療事故報告は最多の1895件 医療機能評価機構

2010.09.06
 日本医療機能評価機構が8月31日に公表した医療事故情報に関する調査結果によると、医療機関で昨年1年間に報告された医療事故とヒヤリ・ハットの事例は過去最多となった。同機構は「ヒヤリ・ハット事例が医療機関であったら報告することが定着してきており、安全性への意識が高まっている」とみている。

医療事故の4割は「療養上の世話」
 公表された医療事故情報の結果報告は、2009年1月~12月に同機構に報告された医療事故とヒヤリ・ハットの事例をまとめたもの。国立病院機構や大学病院など報告義務がある医療機関273の報告によると、医療事故事例は1895件に上り、統計をとりはじめた2005年以来、過去最多を更新した。任意で参加登録している医療機関427の報告件数は169件を合わせると2064件になり、これも過去最多となった。
 事故概要で上位を占めた項目は、「療養上の世話」(40%)、「治療処置」(28%)、「医療用具等」(9%)となっている。

ヒヤリ・ハット事例も過去最多
 また、全国の医療機関で、医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」は計24万1939件起きており、前年を1万7958件上回ったことが分かった。事例の内容でもっとも多かったのが薬の種類や処方量を間違える「処方・与薬」の5万840件(21%)。このほか、人工呼吸器などのチューブの接続ミスなど「ドレーン・チューブ類の使用・管理」の3万5152件(15%)や、リハビリ中の転倒など「療養上の世話」の1万9813件(8%)などが多かった。
 ヒヤリ・ハットの影響度は「間違いが実施されたが、患者に影響がなかった」(60%)が最多で、「実施前発見: 患者への影響は小さい」(15%)と続く。

薬局ヒヤリ・ハット事例
 薬局で発生するヒヤリ・ハット事例の収集も2009年から実施されており、参加薬局数は2600件を超えた。事例の多くは調剤に関するもので、「数量間違い」、「規格剤形間違い」、「薬剤取り違え」が多く、医療機関でのヒヤリ・ハットや医療事故と共通する部分が多かった。

糖尿病の薬剤に関連した医療事故情報
 日本医療機能評価機構がまとめた医療事故情報に関する調査結果では、糖尿病の薬剤に関連した医療事故事情報も示された。公表された事例は「妊娠糖尿病の管理目的で入院した患者にインスリンを導入。分娩後に受け持ち看護師が交替し、スライディングスケール適応と誤認し、インスリンを追加投与した」事例など。こうした情報を共有することが、医療事故の未然防止につながると考えられている。

日本医療機能評価機構
医療安全情報(医療事故情報収集等事業)
医療事故情報収集等事業 平成21年年報

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料