37巻3号(2020年05月発行)

特集:糖尿病性腎臓病
-その疾患概念と克服への挑戦-

37巻3号

特集にあたって

古家大祐/金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学

1.糖尿病性腎臓病の疾患概念

■古家大祐・北田宗弘/金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学

 近年,「糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease : DKD)」という概念が提唱されている.DKDは従来の典型的な糖尿病(性)腎症(diabetic nephropathy)とどういう関係にあるのだろうか.米国腎臓財団のKDOQIは,病理所見を診断の必要条件とせず,臨床的に糖尿病がその発症や進展に関与していると考えられる慢性腎臓病(chronic kidney disease : CKD)をDKDとすることを提唱したものの,現時点でDKDの定義は明示されていない.CKD with diabetesをDKDとnon-DKD(NDKD:非糖尿病性腎臓病)with diabetes,さらにDKDとNDKDの合併(DKD+NDKD)としてDKDを臨床上どう捉えるかを検証し,各腎障害に対しての治療法を概説する.

2.糖尿病性腎臓病の最近のトレンドと今後の課題

■荒木信一/滋賀医科大学 内科学講座 糖尿病内分泌・腎臓内科

 近年の糖尿病治療成績の向上によりアルブミン尿を合併する患者の割合が確実に減少する一方で,超高齢社会,肥満率の増加,動脈硬化性疾患の救命率の向上などにより腎機能低下を認める患者の割合は増加しており,全体として糖尿病性腎臓病患者の有病率は大きく改善していない.今後糖尿病性腎臓病の有病率を低下させ,透析患者の減少および糖尿病患者の生命予後の改善のために必要な多職種によるチーム医療の推進,リスク因子の治療目標達成率の向上,地域連携の推進,さらには未受診・治療中断者を減少させる取り組みについて述べる.

3.糖尿病(性)腎症の重症化予防:透析予防の3つのポイントと地域実践の成果

■平井愛山/日本慢性疾患重症化予防学会

 血糖コントロール最優先から合併症重症化予防へと,糖尿病診療において大きなパラダイムシフトが起きるなか,厚生労働省から「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が公開された.愛媛県八幡浜市,山梨県富士吉田市,沖縄県うるま市・沖縄市,埼玉県皆野町,大分県臼杵市などで実施されており,①減塩の実践継続,②減塩実践困難例での医療・保険者の連携協働,そして③GLP-1受容体作動薬などを用いた腎保護治療により,「糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数の減少」と「医療費の適正化」を実現している取り組みについて詳述する.

4.糖尿病性腎臓病に対する生活習慣の修正

■北田宗弘/金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学

 食事療法・運動療法を含む生活習慣の修正は,DKDに対する包括的治療のなかで基本かつ重要な位置を占める.生活習慣の修正は生活と密接に関わるため,チーム医療による個々の症例に応じたきめ細やかかつ継続的な指導が必要である.本稿では実臨床において,DKDの食事療法のポイントであるたんぱく質摂取量をどう考えるか,どのような症例に低たんぱく質食を実施すべきかなどについて,筆者の考えかたを含め詳細な実践法・注意点が紹介されている.

5.糖尿病性腎臓病の薬物療法における新たなエビデンス

■四方賢一/岡山大学病院 新医療研究開発センター

 糖尿病性腎臓病に対する新たな治療薬のエビデンスを,SGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬とMR拮抗薬の臨床試験の成績を中心に概説する.最近の糖尿病治療薬の心血管アウトカム試験において,SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬が,心血管イベントに加えて腎イベントを抑制することが報告され,さらにMR拮抗薬であるフィネレノンおよびエサキセレノンの追加投与がアルブミン尿を有意に減少するなど,腎症に対する有効性が報告されている.糖尿病性腎臓病の薬物療法における必要十分な情報がコンパクトかつ的確にまとめられている.

6.糖尿病性腎臓病の治療後の残余リスク―対策はあるのか?―

■大島 恵・清水美保・和田隆志/金沢大学附属病院 腎臓内科

 近年,糖尿病性腎臓病に対するさまざまな新規治療薬の有効性が報告され,その治療方針が変わりつつある.現在推奨されている治療を行っても末期腎不全に至る患者をいかに減らすかは喫緊の課題である.治療薬の薬効を評価する臨床試験においては,従来よりも早期に評価可能で末期腎不全進展の予測能が高い代替エンドポイントが求められており,尿アルブミンを超える糖尿病性腎臓病のバイオマーカーの開発も進められている.糖尿病性腎臓病の残余リスク改善に向けて期待できる数々の研究およびその成果を紹介する.

連載・その他

・医師・医療スタッフが行く全国病院・クリニック訪問
・速報
・FORUM
・PUBLICATION
・OVERSEAS
・SERIES 糖尿病と保険診療
・SPOT 糖尿病と母と子と
・糖尿病の療養指導Q&A
・From Diabetes Staffs
・STUDY  続・そこが知りたかった 糖尿病の大規模臨床試験
・ESSAY  鉄・輪だより―鉄人糖尿病ドクターによる銀輪の旅―
・REPORT  子どもたち/ AYA世代の糖尿病―活動・実践ダイアリー―
・CIRCLE リス☆カン フライデーレポート
・CONGRESS
・WHITE BOARD

●A4・120ページ 本体\2,700+税 1984年より発行 医歯薬出版(03-5395-7610)
 出版社ホームページ→PRACTICE

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「テクノロジーが変える糖尿病診療」 第63回日本糖尿病学会年次学術集会レポート(5)
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糖尿病プラクティス