特集:SGLT2阻害薬の多面的作用への期待
-あなたの処方・指導は変わるのか?-

特集にあたって
■金藤秀明/川崎医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科
1.SGLT2阻害薬による膵β細胞保護作用
■木村友彦/川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科学
ハーバード大学医学部附属ジョスリン糖尿病センター
Islet cell and regenerative biology
SGLT2阻害薬は,糖尿病の早期から進行期まで幅広い病態で使用可能であり,血糖と体重の両者をコントロールできる.また,いくつかの臨床研究結果からSGLT2阻害薬による膵β細胞保護作用が示唆されており,糖尿病患者における合併症発症および進行を阻止する重要な鍵として期待されている.膵β細胞保護作用を最大限にするための介入時期やSGLT2阻害薬の適応症例など,実臨床に役立つ情報を提供する.
2.SGLT2阻害薬における1型糖尿病への期待
■及川洋一・島田 朗/埼玉医科大学 内分泌・糖尿病内科
2018年12月以降,一部のSGLT2阻害薬の効能効果に「1型糖尿病」が追加された.本稿では使用されて間もない1型糖尿病へのSGLT2阻害薬の可能性について,いくつかのメタ解析の結果からその効果を提示している.また糖尿病ケトアシドーシスのリスクも踏まえSGLT2阻害薬使用の際に注意すべき臨床像や使用の患者基準,さらにインスリン調整のポイントについても具体的に述べられている.
3.SGLT2阻害薬による肝臓保護作用
■角田圭雄/愛知医科大学内科学講座 肝胆膵内科学
瀬古裕也/京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学
米田政志/愛知医科大学内科学講座 肝胆膵内科学
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の10 ~ 20%を占める非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は糖尿病合併例が多く,体重減少作用を有する新規糖尿病薬への期待が大きい.なかでも多面的効果が期待されるSGLT2阻害薬は,その肝臓保護作用が注目されている.一方,本薬に関しての最大の懸念は,頻尿・脱水・尿路感染症などの副作用であり注意が必要であるが,SGLT2阻害薬はNASH合併糖尿病における第一選択薬となる可能性を秘めている.
4.SGLT2阻害薬による心臓保護作用
■絹川弘一郎/富山大学第二内科
本論文は重複発表が確認されたため撤回しています.
5.SGLT2阻害薬による腎臓保護作用の可能性:Post SGLT2 inhibitor Eraを見据えて
■金﨑啓造/島根大学医学部内科学講座(内科学第一)
2015年のEMPA-REG OUTCOMEをはじめとして,以後,CANVAS,DECLARE-TIMI58,CREDENCEと,SGLT2阻害薬を用いた大規模臨床試験により,SGLT2阻害薬による糖尿病腎症の進展に対する抑制効果が報告されている.SGLT2阻害薬は血行動態依存的・非依存的機序により,糖尿病症例の腎機能低下を抑制する可能性が考えられ,いくつかの大規模臨床試験や研究報告の詳細な解説により,SGLT2阻害薬の腎臓保護作用とその分子機構を解き明かす.
連載・その他
・医師・医療スタッフが行く全国病院・クリニック訪問
・FORUM
・OVERSEAS
・SERIES 糖尿病と保険診療
・SPOT 糖尿病と母と子と
・糖尿病の療養指導Q&A
・CLINICAL RESEARCH
・STUDY 続・そこが知りたかった 糖尿病の大規模臨床試験
・ESSAY 鉄・輪だより―鉄人糖尿病ドクターによる銀輪の旅―
・REPORT 子どもたち/ AYA世代の糖尿病―活動・実践ダイアリー―
・CIRCLE リス☆カン フライデーレポート
・CONGRESS
・WHITE BOARD
●A4・120ページ 本体\2,700+税 1984年より発行 医歯薬出版(03-5395-7610)
出版社ホームページ→PRACTICE
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