1. UGDPの発表
第13回日本糖尿病学会年次学術集会は1970年5月21日、22日の両日、熊本市民会館で開催された。その第2日目にテレビや日刊紙がトルブタマイド長期服用者に心臓死が有意に多いという米国12大学で10年かけて行ったUGDP(University Group Diabetes Program)の結果を報じた(
図1)。このニュースは参加者に動揺を与え、また真偽をめぐって話題となった。
UGDPの心臓死は心疾患の多かった1、2の施設に多かったなどの報告もなされたが、その理由は明らかにされずしまいで、近年のテキストにはUGDPの文字も見当たらないようになってしまった。SU剤の心筋への作用、特にK
ATPに対する影響などについて吟味が必要であったかもしれない。このUGDPの報告はSU剤の乱用に注意を与え、特に
No.30 に述べた低血糖事故にも注意を促すことになった。
2. 第1回SDMA開催
わが国では第8回糖尿病国際会議(IDF)を引き受けないことが前年の京都での年次集会時の評議員会で決まったが、国際会議を開きたいという考えをもつ会員は多く、特に近畿地区ではIDFの誘致に積極的な人達が多かった。