糖尿病の研究をはじめる

  • 後藤 由夫 (東北大学名誉教授、東北厚生年金病院名誉院長)
2014.04.01
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1. 血糖の研究が主流

 生理学を学ぶうちに血圧調節神経に興味をもち、ガマを用いた実験で、心房の内圧が高まると末梢の血管が拡張して血圧が下がる減圧反射の起こることを世界初で発見、1948年に報告し、後にヨーロッパの医学誌に発表した。1年間のインターンでは各科を回っていろんな患者さんの診療を体験できた。医師国家試験を終えて黒川利雄教授の内科に専攻生として入局した。6ヶ月ほど大河原町立病院に勤務して内科診療の腕を磨いた。大学にもどっていよいよ内科の研究をすることになり、糖尿病グループに入るように言われた。このときから本格的に糖尿病とかかわり合うことになった。
 当時のわが国の糖尿病の研究は血糖に関するものが主流で、東京大学葛谷信貞講師はぶどう糖を服用後上昇した血糖はやがて下降してある値に落ち着き、少量のインスリン注射により低下した血糖もやがてある値に戻るが、それらは糖尿病でも健常でも各人それぞれにきまった血糖値に集束することを見出し、それを血糖調節レベルと呼称し注目されていた(図1)。

図1 血糖調節レベルのきめ方

 戦争で外国誌の入手が途絶えたので新しい海外の文献は大学には少なく、街の中心の焼け残った博物館にできたアメリカ文化センターにある医学雑誌を読むという状況であった(図2)。

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